こんにちは。岐阜県郡上市でオーガニックな農泊を営む、くらしの宿Cocoroです。ここ数日、何だか妙に暖かい日が続いています。寒すぎるのは好きじゃないけど、こういう季節感がなくて妙に暖かいのも、何かイヤ〜な感じです。最近は暖かすぎて、干し柿がうまく干せません。気温が高いと、干した後でカビが生えちゃうんですよね。今年は柿を全部猿に食べられてしまったので、干す干さない以前の問題ですが…。
少し前のことですが、くらしの宿Cocoroに化学物質過敏症のお客さまがおみえになりました。今回はその時に思ったことや、くらしの宿Cocoroが気をつけていることなんかをお伝えしようと思います。
私たちはもともと無肥料・無農薬の自然栽培をしてきた農家なので、肥料や農薬などの化学物質、食品の添加物などは以前から勉強して、できるだけ避けるよう気をつけてきました。
なので同じ感覚で、古民家を改装してくらしの宿Cocoroを始めようと思った時も、建築に使う資材はできるだけ自然素材で、できればオーガニックなもので、とずっと考えていました。
「衣食住」のうち、まずは食と住をしっかりと押さえよう、と思ったわけです。
とは言え、それまでは建築資材なんて扱ったことがなかったので、使いたいものをその都度一つずつ詳しく調べる、というなかなか手間のかかる作業をしてきました。そして分かったことは
建築資材もけっこうグレーですね…
ということです。
企業秘密なのか法律上の理由なのか分かりませんが、そもそも内容成分が明示されていないことが、ほとんどなのです。そして「自然素材」「無添加」などといかにも雰囲気よさげに書かれていても、突っ込んで調べてみると、コレ化学物質が含まれてるじゃーん、ということがよくありました。
ホームセンターなどで売っている、塗りやすい練りタイプの漆喰。DIYで使われる方も多いと思いますが、あれにもたいてい化学物質が添加されています。塗りやすさと保存性のためでしょうね。
じゅらく壁に漆喰を塗った時に、練りタイプの漆喰やシーラーを使わなかったのも、同じ理由からです。
ちなみに先ほど「建築資材も」と書いたのには意味があります。
実は農業界にも同じようなことがありました。私が記憶しているのは、1980年前後の、いわゆる「第二次有機農業ブーム」の時です。
当時はまだ法の整備がされておらず、どんな野菜でも勝手に「有機野菜」と名乗って、付加価値を付けて販売することができたのです。農薬を使っていることを隠すために、出荷前だけ虫を殺さず、あえて虫食いの穴を作る、なーんて高度な技術もあったようです。果たしてそんな風にうまく行くのかどうかは知りませんが(笑)
食べ物の場合は日々口にするものだから、その後、法が整備されましたが(といっても、法整備までに20年近くかかりました)、建築資材はそこまでの緊急性を持ってはいない、というところなのでしょうか。
でも私たちは化学物質過敏症を始めとするさまざまなアレルギーは、衣食住すべてに関係があると考えています。ですので改装に使う資材はできるだけ自然素材で、と考えたのです。
具体的には床材、壁材、床に塗るオイル、壁に塗る漆喰やペイントなど、家の中で使用する面積が大きいものを特に重視しました。そこから放出される物質は、家の中でかなりの量になります。そして気密性が高い現代の家ほど、当然その影響は大きくなります。
信頼のAURO Nr.129です! これは無垢材に塗るワックスなんですが、100%が天然原料(鉱物含む)でできています。オレンジの爽やかな香りも、作業がゴキゲンになります。 普段のお掃除もAUROを使ってまーす。お客さまと一緒にお掃除をすることもあります。
初めて床にワックスを塗った時の写真です。下が無垢のまま、上の方にはオイルがぬってあります。オイルを塗ると木がしっとりするのと、あと木目がとてもキレイに出ます。私たちのDIYを見に来てくれた大工さんが
「お〜、ええ色になったなぁ」
と喜んでくれたのが印象的でした。
反対に、どうしても自然素材でできなかったものもあります。タイルのボンド、目地材、水回りのコーキング材です。これはいくら探しても「これだ!」というものが見つかりませんでした。もしご存じの方がいらっしゃれば、ぜひ教えて下さーい!
とまぁ、できる限りのことを考えて、右往左往しながらDIYを進めてきました。ちなみに私たちがどれくらい迷走しているかはコチラからどーぞ!
そんなある日、友人から一本の電話が。
「友だちが化学物質過敏症なんだけど、泊めてもらえるかな?」
おお、イキナリそんなお客さまが来ちゃいますか…。
今までそのための準備をしてきたとは言え、具合が悪くなられたらどうしようかと、ちょっとビビる私たち。
詳しく話を聞いてみると、久しぶりに実家に里帰りをしたはいいけど、実家の香りや電磁波がキツくて、そこに長時間はとてもいられない。かと言って安心して泊まれる場所もないし、どうしたらいいものかと悩んでいたそうです。
しかしまぁ、ビビっていても始まらない。まずは実際にくらしの宿Cocoroに来てもらって、様子を見てから判断してもらうことになりました。当然お客さまからはいろんな質問が出ます。
「洗濯洗剤は何を使っていますか?」→石けんです。
「柔軟剤は?」→使ってません。
「シャンプーは?」→オーガニックの石けんです。
「ファブ◯ーズは?」→持ってませんし、使ったこともありません。
「お掃除はどうやってしますか?」→基本的にはほうきと雑巾がけです。
「食べ物は?」→うちで自然栽培した野菜とお米です。
「化学調味料とか使います?」→使いません。
「エアコンは?」→ありません。
「テレビは?」→ありません。
「Wi-Fiも?」→はい、ありません。
いろいろ話をした後のお客さまの感想は
「なんかここなら大丈夫そう」
いやー、少し安心しました。まずは1泊していただこうということになりました。
で、翌朝。
「家よりもよく眠れました(笑)」
そうですか! それは本当によかったです。結局お客さまはそのまま3泊されました。快適に過ごしていただけたようで、ホッとしました。今までやってきたことが的外れでなかったことにも、安心しました。
で、思ったこと。
化学物質過敏症の方に古民家っていいんじゃない?
理由はいくつもあります。ざっと挙げてみても
- 建材がナチュラル。
- 気密性が低い。
- 夏涼しく、冬暖かい。
- 電気の配線が少ない。
- かわいい♡
5は明らかに主観ですが(笑)、それ以外はけっこう本気で言ってます。化学物質過敏症の方が悩まれていることが、これでグッと解決に向かう! と、そこまで思うのは私たちの思い込みかな?
あと古民家は夏は涼しいけど、冬は寒いからイヤだな〜、なんてお考えのアナタ。チッチッチ(と人差し指を振る)、実は古民家には天国があるんですよ。それは
縁側! え・ん・が・わ〜!
昔のじーちゃんばーちゃんは昼間はポカポカの縁側で何か作業をしてましたよね。ネコも昼間はいつも縁側で寝ています。太陽が出ている間は、全く暖房はいりません(ただし縁側から別の部屋に移動するとチョー寒いですが…)。
現に今も、縁側でこの文章を書いています。ヌクヌクしてて幸せです。
しっかりした大工さんが建てた古民家だと、ひさしの角度が絶妙で、夏は日光をさえぎって涼しく、冬は部屋まで日を通してくれます。
もう一つ古民家でよくあるのは、足下から冷えるというものですが、これは床下に断熱材をいれることで、かなり改善できます。
この写真の部屋は元々はたたみだったのですが、それをフローリングに替えました。たたみもいいけど、ダニやほこりが溜まりやすいのが難点です。呼吸器系のアレルギーがある方は、フローリングの方がいいかもしれませんね。
とかく敬遠されがちな古民家ですが、実は意外にも現代にマッチしているのでは!? と思う私たちでした。
そんな古民家、くらしの宿Cocoroに泊まりに来てくださーい。ご予約はコチラから。お待ちしてます♪