こんにちは。岐阜県郡上市でオーガニックな農泊を営む、くらしの宿Cocoroです。昨日は久しぶりに晴れました。夜、外へ出てみたら、星がとてもキレイに見えました。田舎の夜は暗くていいな〜。いつの間にかオリオンが山の上の方まできていましたよ。冬が近いですね〜。
実はですね、くらしの宿Cocoroは
「たがやす・たべる・くらす」
を体験できる農泊なのです。今回はその中の「たがやす」について、書いてみたいと思いまーす。
「たがやす」 つまり農です。
最近は家庭菜園や貸し農園などで、野菜を育てている方をよく目にしますね。自分たちで食べ物を育てることは、健康面や経済的な面、子どもたちへの影響など、いろんな面から見て、とってもオススメです。私たちはプロの農家なので、販売はもちろんですが、自分たちで育てたお米や野菜を普段から食べています。
でも農家になる前は、ずっとスーパーで野菜を買っていました。買わなきゃ手に入らないから当たり前ですよね。でも農家になってみて、その当たり前が少しずつ揺らいで、変わってきました。今では野菜を買うことは、ほとんどありません。
一番最初に気づいたのは「味」でした。
自分たちが育てた野菜を食べ続けていると、スーパーで買った野菜がなぜかおいしくないのです。最初は「コレはあれだな、一種の親バカだな。オレたち恥ずかしーな」とか思いながら食べていました。
そのうち野菜を買ってくれているお客さんからも「Cocoroさんのお野菜を食べるとスーパーの野菜が食べられなくなるね」なんて声を、チラホラと聞くようになりました。これまた最初は「いやいや、うちの野菜がそんなに特別なハズがない。コレは社交辞令に違いないぞ」と半ば疑いながら聞いていたのですが、他のお客さんも同じようなことをおっしゃってくれます。
って書いてて思ったけど、自己評価低すぎだろっ(笑) もうちょっとお客さんの声に耳を傾けろよ、と当時の私たちにツッコミを入れたくなります。でもね、農業始めた頃って、ホントに自信がなかったんだよねー。
本題に戻ります。
これは一体なんでだろう? 鮮度? 栽培方法? 野菜の品種の違い?
残念ながら私たちの技術でないことは確かです。だって当時、そんな腕なかったもん。今なら「タネがどうで、堆肥がなんちゃらで、土の中の微生物がホニャララで〜」とかそれらしいこと言えちゃうんだけどね(笑)
ま、いろいろと理由は考えられますが、これは
「知っている人が、ちゃんと育てた野菜だから」
ではなかろうか、という結論に至りました。
育てる人と食べる人との関係性、とでも言いましょうか。あ、ついでに言うと、ぼく「消費者」って言葉がキライです。「先進国」と同じくらいキライです。って、どうでもいい話ですね〜(笑)
そりゃーどこかの見知らぬ人より、近所の顔見知りの人だよね。化成肥料でササッと育った野菜より、有機栽培(当時、うちではまだ有機肥料を使っていたのです)でじっくり育てたほうが、いいような気がするよね。でもそうやってうちを応援してくれるお客さんがみえるのは、本当にありがたいよなー、なんて思いながら農業をやっていました。
そのうち仲良くなったお客さんから「ルッコラが食べたい」「ビーツはやりませんか?」「雑穀をやって欲しい」「もっとお米が食べたい」と、いろんなリクエストが届くようになりました。
最初は畑の規模も小さくて、お客さんも少なかったので、畑を増やし、栽培品目を増やし、できるだけリクエストにお応えしようと、いろいろと頑張ってみました!
が、いかんせん私たちはかけ出しの弱小農家。技術もなければ体力もない。勉強もしなくちゃいけない。そんな時期に手を広げてはいけなかったのです…。
その結果、2人で朝から晩まで激しく働いても回っていかない。当然、畑も家もクッチャクチャ。何となく生活まですさんできて、言い争いの日々…。はウソですが、「なんかコレ、忙しすぎてうまく回ってないよな〜」と感じていました。
そんな状態は2〜3年ほど続きましたかねぇ。当時は、有機栽培から徐々に自然栽培に切り替えを進めていた頃です。少しずつお客さんも増え、野菜もお米もどうにかこうにか育つようになっていました。
なのに受注に対して生産が全然追いつかない。出荷できる量が足りなくて、せっかくいただいたご注文を何度かお断りしたこともありました。自然栽培って、収量が少ないし、生長に時間がかかるし、大量生産には向かない農法なんだと、その時になってようやく気付きました。
でも現実にはそんな野菜を必要としている方がたくさんいる。でもこれ以上畑を広げたら体力が保たないし、人を雇ったり機械を買うお金もないし、こりゃ一体どうしたらいいんだろうかねぇ。
とか考えていたら、ひらめいちゃったんですね〜。
「私たちだけで生産するのがムリなら、食べたい人が自分で野菜を育てたらいいじゃないか!!!」
みんながいわば「小さな農家」になって、自分たちが食べる分の米や野菜を育てる。そうすれば食べ物を買うお金が減らせるので、あくせく働く必要がなくなる。
私たちは野菜そのものではなく、野菜作りができる人を育てる。それなら畑を広げる必要はないし、農業があまり忙しくない冬にも取り組める。
農薬や除草剤の使用料も減る。自分が食べる野菜にはこういうの、あんまり使いたくないでしょ。
えー、いいことばっかりじゃーん!
お客さんが自分で野菜を育てることは、農家にとっては単純に収入が減ることを意味します。でも私たちはそれでいいよね〜、と思っちゃったんですね。
どっちにしても自分たちでこれ以上の増産できないし。私たちが持っている技術を伝えることで、みんなが幸せで楽しい人生を送ってくれたら、それはとてもハッピーだよね〜☆
ま、教えることで収入が得られるだろうという下心、…もといビジネス的な観点があったことは、決して否定しませんけどねv( ̄ー ̄)
ちなみにこの「小さな農家」は、最近国連でも支持されているんですよ。先進国と呼ばれる国や日本は棄権や拒否して抵抗したけど、この流れは止めちゃいけない。農は一部の大企業の利権ではなく、私たちのくらしそのものの基盤だからです。
そこで「小さな農家」を増やすために始めたのが、田んぼのワークショップと自然栽培・学びの畑でした(詳細はコチラからご覧ください→つながるワークショップ)。
私たちがイメージする「小さな農家」ってこんな感じです。
- 田んぼ5畝くらい(500平方メートル)
- 畑2〜3畝くらい(半分は野菜、残りの半分は麦、大豆など穀物)
- 販売目的ではなく、自給のための農
- 機械はできるだけ使わずに手作業で
- 農薬、除草剤、化成肥料は使いません
- 家族みんなで作業します
- お父さんは平日はサラリーマンで週末農家
- お母さんは平日何日かと週末農家
- 子どもは毎日畑のチェックと収穫♪
どうです? なんか自分たちでもできるような気がしませんか?
これだけの田んぼや畑を見つけることは、町ではなかなか難しいと思いますが、田舎で探せば必ず見つかります♪ できるだけ家の近くがいいですね。
農業一本でやっていた頃は「技術を教える」という点の活動でしたが、くらしの宿Cocoroを初めてからは、農が持つ豊かな魅力を「体験してもらう」「楽しんでもらう」というスタンスに変わってきたように思います。もちろんしっかりと自然栽培を学びたい方に向けた講座もあります。
人のくらしの基盤である「たがやす=農」。
それを自分たちの手に取り戻した生活ってどんな風なんだろう。そんなことを少しでも感じてもらえると楽しいな〜、と思っています。
ぜひくらしの宿Cocoroに遊びに来て下さ〜い。ご予約はホームページより絶賛受け付け中! お待ちしてまーす。